10月24~26日にQualcommが「Snapdragon Summit 2023」を開催し、PC向けSoCとなる「Snapdragon X Elite」やスマートフォン向けSoCとなる「Snapdragon 8 Gen 3」などを発表しました。
その中でもSnapdragon X Eliteは開発コードネーム「Oryon」で知られる高性能CPUを採用しており、AppleのM2の50%、IntelのCore i7-1360Pの2倍高速とのことです。
iGPUもIntelのIris Xeと比較して2倍性能が向上し、74%消費電力が少なく、AMDのRadeon 680Mとの比較では80%高速で、80%消費電力が少ないということですが、AppleのM2との比較では具体的な数値は公表されませんでした。
Oryon(オライオン)は従来のSnapdragonで採用されていたKryo同様ArmアーキテクチャのCPUですが、Arm社が設計したIPではなくQualcommが2021年に買収したNuvia(ヌヴィア)社が設計していたCPUです。
Nuvia社の共同創設者であるGerard Williams III氏、Manu Gulati氏、John Bruno氏の3名は、同社を創設する前はAppleの半導体設計事業に携わっていました。Nuviaの最高経営責任者(CEO)であるWilliams氏は、2019年3月にAppleを離れるまで、「A7」から「A12X」までのすべてのAppleチップコアの設計を統括した人物です。
この業界は割とそういうことは多いみたいですね。AMDでRyzenを設計したJim Keller氏もAMDでAthonに携わり、その後P.A.Semiを経由してAppleでA4、A5を設計して再びAMDに戻ってRyzen(Zen、Zen2)を設計、その後もテスラ、Intelと渡り歩いています。
話戻ってPC向けArmですが、今までもひっそりとArm版Windows PCがlenovoやMicrosoft等から出ていましたが、やはり性能の低さがネックな感がありパッとしませんでした。
しかし、今回の発表通りの性能であれば割といい線行くのではないでしょうか?
また、QualcommとMicrosoftはArmSoCについて独占契約を結んでいたらしいのですが、それが2024年に切れるという話で、AMDやNVIDIAもPC向けArmSoCを開発しているとのことです。
AMDは以前サーバー向けにK12というArmCPUを開発していましたが、キャンセルした過去があります。
NVIDIAはスマホやタブレット、車載向けにArmのSoCは設計しており、Nintendo SwitchもNVIDIAのSocを使用しています。
NVIDIAは以前Arm社を買収しようとしましたが、独占禁止法に抵触の恐れもあって断念していましたね。
Appleも日本時間10月31日午前9時からのイベントでM3を発表するかもという話もありますし、今度も各社の開発競争は目が離せないですね。