Intel共同創業者のゴードン・ムーア氏が3月24日に94歳で死去しました。
謹んでお悔やみ申し上げます。
ゴードン・ムーア氏と言えばなんと言っても「ムーアの法則」でしょう。
半導体の集積度は2年で2倍になると言う経験則で、実際に1970年代~2010年位まではそのように推移していました。
集積度が倍になるということは、同じチップ面積であれば回路数が2倍になる=同コストで性能が上がる、同じ回路数であればチップ面積が半分になる=1枚のシリコンウェーハから取れるチップの数が増えて1チップ辺りのコストが安くなる、ということです。
どうやって面積が減るのかと言うと、チップ上に構成されている電子回路(トランジスタ)や回路をつなぐ配線はシリコン上に回路パターンを印刷して作るのですが、その印刷するためのマスクの製造技術が向上することにより、細かい回路の印刷が可能になって回路を小さく記述することができるようになったからです。
ちなみに主に配線の線幅を指してプロセスルールの世代を区別しています。最近主流の6nmとか4nmと言われているものは線幅が4nm(ナノメートル。1nmは10の-6乗mm、つまり0.000001mm)という事です。
ちなみに、日本人女性の髪の太さは、平均約0.08ミリだそうです。
IntelではCoreプロセッサが出た初期の頃にチックタック戦略というものを採用していました。
これは前世代から設計を変更せずにプロセスルールを縮小(チップ面積減少)したものをチック、プロセスルールを変更せずにCPUアーキテクチャの改良(チップ面積増加)したものはタックと呼んでいました。
このおかげで毎年CPUの世代更新が出来て性能も向上していましたが、2016年の第7世代Coreプロセッサの頃からプロセスルールの縮小に手間取るようになり、チックタック戦略の終焉を迎えました。
2015年の第6世代CoreのSkylakeアーキテクチャは2019年の第10世代まで、細かい改良がされたとはいえプロセスルールは14nmのまま更新されませんでした。ここでIntelが足踏みをしている間に台湾のTSMCが躍進し、プロセスルールを順調に縮小していった結果、そのFabを使用しているAMDやAppleなどにシェアを奪われていくことになりました。